・伊都郡誌 和歌山県伊都郡役所編 昭和46年1月発行 より引用
古澤川(現不動谷川)
高野山奥の院の西方塵無池に源を発し、西北に流れて不動谷川となり、北流して九度山町に入り古澤を経赤瀬に於て丹生川に注ぐ。
・紀伊続風土記 巻之五十一 伊都郡第十 古佐布荘 より引用
古澤川
源は高野山不動坂の谷より出諸谷の水をうけて細川を歴て南より北に流れ下村に至りて屈曲して椎手村に至り丹生川に落合ふ
・九度山町史 昭和40年発行 不動谷川と地蔵横手 より引用
不動と地蔵は、空海の高野登山の道中を守るために同行していた。いよいよ高野山が近づき、先頭の不動が古沢川をさかのぼってくると、急に空が曇り、すさまじい雨と稲光りと雷が天地を揺り動かして、一歩も進むことができなくなった。大蛇が空海の行手をさえぎろうとして、暴れ出したのである。不動はうごかず剣を抜いて十字を切った。そのころ、空海に従うて天鉾アマホコ山にいた地蔵は、いそいで天野峠に走り、眼下に大蛇と戦う不動の姿をみつめ、眉間の白毫ビャクゴウから光を放って応援した。空海は、天鉾山の頂上に端座して八大龍王を招き、大蛇の魔力をここに封じこめた。
やがて不動は、大蛇がのたうち回って、古沢川の淵に吸い込まれて行くのを見た。底知れぬ大淵はいつまでも大うずをまいていた。名づけて「うずわの淵」といった。その後、葛和淵といい習わして不動尊をまつり、古沢川を不動谷川と呼ぶようになった。
地蔵がいそいで天野峠へはせのぼった道を、地蔵横手といい、今も山中に地蔵尊がまつられて道中の安全を守っている。人呼んで野警ヤケ地蔵という。