国土交通省の河川の総合的な保全と利用に関する基本方針には「河川の利用については、舟運は藩政時代から明治の中期まで栄えたが、今ではほとんど利用されていない。現在は、仙台市の中心市街地を貫流する貴重な水と緑のオープンスペースとして、周辺の公園整備等と相まった親水空間の利用がなされている」と記されている。
以下、同文書より、名取川水系に関する記述。
「名取川は、宮城県中南部の太平洋側に位置し、その源を宮城・山形県境の神室岳(標高1,356 m)に発し、奥羽山脈から発する碁石川、広瀬川等の大小支川を合わせて仙台平野を東流し、名取市閖上で太平洋に注ぐ幹川流路延長55.0km、流域面積939kmの一級河川である。左支川広瀬川は、宮城・山形県境の面白山に源を発し、大倉川、斎勝川等の大小支川を合わせて流下し、仙台市袋 原で名取川に合流する幹川流路延長45.2kmの一級河川である。その流域は、仙台市、名取市など3市2町からなり、流域の土地利用は山地等が約76%、水田や畑地等の農地が約13%、宅地等の市街地が約11%となっている。沿川には、東北新幹線、JR東北本線、JR仙山線、JR仙石線の他、仙台市の南北を結ぶ地下鉄(南せんざんせん せんせきせん北線)の整備に加え、仙台東部道路、仙台南部道路、国道4号、45号、48号等の基幹交通ネットワークが形成されるなど、交通の要衝となっている。また、上流部は蔵王国定公園や二口峡 谷等の県立自然公園の指定、磐司岩や秋保大滝等の景勝地、河口部一帯は国指定仙台海浜鳥獣保護区や仙台湾海浜自然環境保全地域(宮城県)の指定に加え、井土浦は「日本の重要湿地500」(環境省)に選定されるなど、豊かで貴重な自然環境が随所に残されおり、本水系の治水・利水・環境についての意義は極めて大きい」