―「お客さんとの信頼関係は絶対に守ります」


松重時計宝石店は、2代目の店主である松重さんが店を営んでいる。

時計や宝石の販売はもちろん、アフターサービスもかねて時計や宝石の修理・リフォームなども行っている。


―「時計の修理はもちろんなんですが、町の高齢者の方は何か困ったことがあると店にいらっしゃいますね。

 バッグや携帯電話などの修理を頼んでくることもありますよ。」

 

と、松重さんは語る。

 

最近の高校生は、時間を知るとき腕時計よりも携帯電話を利用することが多い。

時計がよく売れる時期やどのような商品が売れ筋なのか聞いてみた。

 

―「時計や宝石がよく売れる時期というのは、15年ほど前までは正月や春先、クリスマスなどだいたい決まっていたんですけどね、

  最近は何かと記念日が多くなったせいでしょうか、1年を通して時計や宝石を求めてお客さんがいらっしゃいますね。

  腕時計などは時間を知るという実用的な目的だけでなく、ファッションのひとつとして身に着ける人が多くなってきました。

  ですから腕時計を選ぶときも名の知れたブランドだからというよりはデザイン性を重視する人が増えていますね。」

 

店で扱っている宝石の多くは、松重さん本人がデザインしたものである。

 

私たち高校生にとってはとても高価な商品であるが、どのように価格を決めているのであろうか。

 

―「オリジナル商品は利益を狙った価格を設定することも出来るかもしれません。

  しかし、きちんとした価格を付け、お客さんとの信頼関係を築いていくことが目先の利益を追求するよりもとても大切なことだと思っています。」

 

と松重さんは語る。その「お客さんとの信頼関係は絶対に守る」という松重さんの姿勢が信頼を呼んでか、40年近く通い続けてくれている常連もいるそうだ。

 

また、店の一角にはお客さんが憩える無料開放スペースがあり、特に商店街でイベントなどがあるときは大活躍している。

 

松重さんも接客するときはお客さんと少しでもたくさんの会話ができるように心がけていて、

特に用事がなくても松重さんと話すために店を訪れる人もいるそうだ。


「手書き」は松重さんのこだわりのひとつである。商品についている値札から店内に貼ってあるオリジナルポスターはすべて手書きである。

 

―「パソコンとプリンタがあれば簡単に作れるし、手書きだと時間も手間もかかるけど、その分、心も伝わるんじゃないかと思います。」

 

と、いうのが松重さんの思いである。

これは時計においても同じで、デジタルよりアナログの方がパーツも多く製造が大変だが、味があっていいそうだ。


現在、松重さんの後継者は現れておらず、この先も家族が店を継がないときは、家族以外の人に店を託すそうだ。


―「店を閉めずに、この先も残していくことが商店街の一員としての責任だと思います。」


と、語る姿から松重さんの店主や商店街の一員としての強い思いを垣間見ることができた。

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(いとうかなえ)


北海道岩見沢緑陵高等学校情報コミュニケーション科2011

 

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