夜寝る前になってコーヒーを飲みたくなることがある。いわい珈琲の「やすらぎコーヒー」飲んでみて「え?なんでカフェインレスなのに美味しいの?」と思わず声に出た。

社長の岩井さんに伺うと「いい豆使っていれば旨いんですよ」との答え。「今までコーヒーを飲まなかった人にも飲んで欲しいなあ。妊婦さんとかね、カフェインがダメな人にも美味しいの、たくさん飲んで欲しかったんですよ」。いわい珈琲の「やすらぎコーヒー」はカフェインレスの上に機能性成分のETASが入っている。豆はホンジュラスとエチオピア。「カフェインを抜く過程でコーヒーの味が落ちるなら、悪い豆でいい」という考えが業界の中にあったのを覆し、いい豆を使っただけのことだという。

そして、数年経ってやっと教えてもらえた。「コーヒーの蘊蓄ななんて面倒でしょ。だから話さないようにしてるんですよ」と言いながら、カフェインを通さない膜を使って、化学薬品などを使わない方法も詳しく教えてくれた。さらに、豆の仕入れ方だ。アメリカ西海岸の非営利のコーヒー仕入れるための組合に参加して、いい豆はオークションで正しい値をつけて買うのだという。これを繰り返すと産地の経済がちゃんと回転する。すると、生産者の生活水準が上がる。子供の非行もなくなり、教育の水準が上がる。生産者の技術が上がり、豆の質が更によくなる。そして、世代が交代してもいい仕事が受け継がれてゆく。これに尽きるのだそうだ。

どうも、岩井さんの舌なのか身体なのか、自然に旨い物、身体に必要な物を感じとってこの仕事と向き合われているようだ。「コーヒーが旨いと思ってね、たくさん飲むようになって、でも、お腹壊したりするんですよ。一杯飲んで美味しいコーヒー店はたくさんあるのだけどちょっと釈然としない」と、仕事の初めの頃の話が出てくる。前職を辞めて、この世界に入ろうとしたとき、弟子入りしたい店を見つけられず、高価な焙煎機は買えず、先輩に借りて豆を焼き、売り始めるが、商社を通すと品質が安定しないことがわかる。同じ悩み、疑問を持つ人々とネットで繋がり情報を集め、アメリカの西海岸に辿り着いた。イベントの会場では、コンテストが行われている。「カップ・オブ・エクセレンス」その年の一番旨いコーヒーを決める。そして、グアテマラのブースに吸い寄せられた。旨いと思ったコーヒーに札を入れて、競り合いに勝って正しい値がつけた。

日本の仲間と共同で買う体制も整い何年か経つと、様々な産地の生産者と顔見知りになってゆく。そして、いつしかコンテストの審査をする立場にもなったという。

さて、「やすらぎ」に入れたETASの相方は、「ごきげん」に入れるオリゴノールだ。このオリゴノールは大きな分子からなるポリフェノールを小さく刻んだ成分が多く入る多様なポリフェノールだ。言わずと知れた赤ワインなどの渋みだけを取り出したような味。「こんな物、コーヒーに入れて飲めるのか」と言いながら、油の多い豆、甘みの強い豆を合わせて、より美味しいコーヒーに仕上げる。確かに、赤ワインの渋みと肉の脂と甘味が出会ったとき、舌上には幸せな、それまでとは違う駆け上がるような旨さが起こる。豆はブラジル、グァテマラ、ホンジュラス。

「私、飲み終わった後で水を飲みたくなるようなコーヒーを作りたくないんですよ」と楽しそうに穏やかに笑う岩井さん。言葉の通り、いわいのコーヒーはどれを飲んでも、お代わりしたくなる。湧水を飲んだような心地よい後味だ。

岩井さんは小学生から、母親の新聞配達を手伝っていた。寒い日、家に帰って飲むインスタントコーヒーと砂糖の入ったコーヒー牛乳でホットしたのが最初のコーヒーの味で、休みの日はお父さんのためにゴリゴリ豆を引いていたそうです。


 

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