「無いものは買ってでも用意しなさい」
「無いものは買ってでも用意しなさい」と笑顔の池崎豊さんが口癖のように社員に話す。札幌市のイベント企画会社のプランニングホッコーの日常だ。イベントにまつわるレンタルを全て揃え、映像制作、サイン看板製作もこなし、会場の設営などは建築業さながら、企画と実働が相まって、楽しい世界を見せてくれる会社だ。
総務部長の工藤さんは言いう。「誰でも知っているイベント、そう、札幌市さんのオータムフェストのお仕事をさせていただくようになったおかげで、会社の信用は大きく伸びたんです。会社の自己紹介しやすくなりましたから。でも、その時、社長の言葉通り、無いものばかりだったので、本当にたくさん、買いましたよ。オータムフェストのために倉庫も新たにひとつあたらしく借りました。随分数字とにらめっこしました」と穏やかに笑う。
「何か一つでも一番になろう」
レンタル事業で独立をしたとき「売り上げで無理でも、なにか一つでも一番になって信用を得ないと生き残れない」と当時、札幌の老舗百貨店のために大画面のモニターを用意したことを柱に、映像関連の機器を徹底的に用意した。三つの管を調整する巨大なプロジェクターも北海道で一番最初に導入した。最初の仕事はメーカーが喜んで飛んできてセッティングするほどだったという。「映像関係のレンタルは池崎さんのところ」と五番館をはじめ、ホテルなどが豊さんの仕事を支えてくれた。京王プラザホテルの飯田修さん(故人)は「会社の取引先にうちの名前いれなさい。少しでも信用がつくように」と教えてくださって、同業者を含め多くのお客様をご紹介くださったという。
「社屋を持った瞬間に信用がついた」
「すごい大きな会社さんだったんですねとか、一番驚いたのは、社員に応募した人たちがちゃんと面接に来てくれるようになったことかしら」と工藤部長は笑う。「北12条にあった事務所は普通の民家でね、事務所は流しだったらお茶が出しやすかったの。社長室は客間で、たたみだったのよ。入社の申し込みがあっても、面接に来ない人が大勢いて。後ろの玉ねぎ倉庫を使っていたから、ある意味、いい風情だったけども」。